
概要
相補的な分子情報を得る2つの分析手法を融合した赤外ラマン顕微鏡。観察から解析まで簡単に行えるシンプルなシステムで効率的な分析作業をサポートします。
特長
液体窒素を使わずに微小物の赤外顕微測定が可能です
電子冷却MCT検出器(TEC MCT)もしくは室温検出器(DLATGS)を搭載することによって、液体窒素を使わずに赤外スペクトルを取得することができます。必要に応じて標準検出器であるT2SL※1とTEC MCTもしくはDLATGSを切り替えて測定することができます※2。
※1 : T2SLには液体窒素が必要です。
※2 : TEC MCTとDLATGSは同時搭載できません。
サンプルを動かすことなくFTIR/Ramanの両測定が可能
サンプルを移動させることなく、極微小部の同一箇所における観察、赤外およびラマン測定が可能です。同一箇所の有機物情報と無機物情報が得られ、定性精度が大幅に向上します。また、観察用の広視野カメラ、赤外測定用の顕微カメラ、ラマン測定用の対物レンズは位置情報を共有しており、広視野カメラでは最大10×13mm、顕微カメラでは最小30×40μm、50倍対物レンズでは最小15×20μm、100倍対物レンズでは最小7.5×10μmという非常に狭い視野まで観察が可能です。
1つのソフトウェアでFTIR/Ramanの両測定および解析が可能
クリック1つで赤外測定とラマン測定を簡単に切り替えられます。また、赤外スペクトルとラマンスペクトルを重ね合わせて表示でき、様々な解析も行えます。
1台で有機/無機の情報取得が可能
赤外顕微鏡は有機物分析が可能ですが、多くの無機物の情報を取得することが困難です。一方、ラマン顕微鏡では有機物に加え、酸化チタンやカーボンなど無機物の情報を得ることが可能です。 AIRsight 1台で有機・無機混合物の解析を可能にします。また、通常必要となる2台分の設置スペースが1台分のみとなるため、省スペース化にも貢献します。

共焦点光学系を採用
良好な空間分解能でラマン測定が可能
532nm、785nmレーザーを標準搭載
レーザー特性
532nm:散乱しやすく、ピーク強度が得やすい
785nm:蛍光の影響を受けにくく、蛍光サンプルに強い
50倍対物レンズ、100倍対物レンズを搭載可能(両方も可)
測定対象の大きさによって使い分けが可能

赤外測定/ラマン測定のレンズ切り替え時にXYZ補正あり
同一箇所の赤外およびラマン測定が可能
測長機能(赤外/ラマン)
AMsolutionでは測長機能が新たに追加されました。赤外ラマン顕微鏡で取得した画像上で対象物の測長が可能です。また、ボタン一つで測長結果をレポートとして出力できます。

深さ測定(ラマン)
深さ方向(Z 方向)への分析が可能。
ラマンでは、深さ(ポイント)測定と深さ(ライン)測定※1ができます。透明な樹脂やガラスなど、レーザー光が侵入可能な成分、厚さ(深さ)のサンプルであれば、内部の測定が可能です。試料が着色していたり曇っていても、内部観察ができれば概ね測定可能です。
※1 深さ(ライン)測定をするためには、別途マッピングプログラム(P/N 206-35093-41)が必要です。

用途・事例
・マイクロプラスチック
赤外およびラマン測定により数十μm~数μmまで幅広いサイズのマイクロプラスチックを分析でき、モニタリング調査や研究に活用できます。
・炭素材料
ラマン測定により炭素材料の結合や構造を感度良くとらえ、DLC膜の品質管理が行えます。
・リチウムイオン電池
ラマンエリアマッピングは微細な成分分布や物質の構造(結晶性、欠陥など)の分布を可視化でき、研究開発における製品や材料の評価に役立ちます。
・多層フィルム
フィルム断面を切削し、赤外およびラマンでエリアマッピングすることにより、各成分の分布を可視化できます。
・自動車塗膜
断面切削が困難なサンプルの場合、ラマンの深さ分析により成分の深さ方向の分布、表面からの劣化の進行具合などの評価が可能です。