概要
軟質素材／ソフトマター表面の摩擦・粘弾性を含む総合的な挙動を評価できる試験機です。
素材表面を摺動する際に圧子先端に発生する抵抗力は、摩擦、粘弾性、材料の変形等を総合的に含みます。本試験機は摺動パターンに一般的な正弦波に加えて、三角波も導入しました。三角波摺動では速度を一定に保ちながら摺動周波数を変えることで、素材の速度依存性を調べることができます。また、摺動方向の抵抗力は、はんだぬれ性試験機で培った電磁平衡式センサの技術で計測し、素材の差を高感度に検出します。現在、得られた抵抗力の波形解析の事例を蓄積することで、幅広い素材の評価に活用できる試験機を目指しています。
特長
極薄(1um~)の対象物の粘弾性評価が可能
今まで粘着シート等の評価は粘着層を積層していましたが、その必要がなくなり製品状態で評価が出来ます
レオロジーとトライボロジーの総合的データの取得が可能(切り分けも可)
ゴムや皮膚の様に表面を変形させながら滑る対象物の摩擦と粘弾性の評価が可能です
様々なソフトマターの評価が可能
・ゴム、エラストマー、プラスチック
・水溶液など各種液体で濡れた固体表面
・織布、不織布、繊維、ワイヤー
・ペースト、グリース、オイル、潤滑剤
・粘着剤、粘着シート、フィルム
・厚み100μm以下の粘着シートなどのソフトマター全般
センサのたわみが計測に及ぼす影響を極小化しました
電磁平衡式電子天秤技術により等価的に大きなばね定数のロードセルように振る舞います
メゾスコピック領域のレオロジートライボロジーの評価に最適です
球状接触子の採用によりμmからmmオーダーまで多様な接触領域をカバーします
厚さ1umから数mmの液体固体ソフトマターの評価が可能です
レオメーターでは難しいとされる、500μm以下の厚みの試料でも測定可能です
小片の試料でも測定できます
真空吸着ステージとΦ5ボール平面接触子の採用で5mm□でも測定可能です
速度依存性の測定を一度の操作で実行できます
摺動周波数を自動で切り替える周波数ステップ測定機能を搭載しました
測定対象
・粘着シートといった極薄試料
・ゴムをはじめとする軟質材料全般
・オイルやゾルのような液状試料
・コンタクトレンズのような曲率のある試料
測定原理
素材表面を擦ったときに発生する摩擦力・せん断力・粘着力を検出可能
→検出された抵抗力の波形を観察することによりどの力が発生したかを判定
→せん断力のみ検出された場合は動的粘弾性解析が可能
用途・事例
光学薄膜に関わる測定例 -粘着シート-
積層粘着シートと単層粘着シートの比較 -測定波形
レオメーターで測定する際によく用いられる積層粘着剤と粘着シートそのものの測定波形を比較
→ いずれも正弦波で出力波形が得られているためせん断力が検出されていると判断し動的粘弾性を適用
積層粘着シートと単層粘着シートとの比較 -動的粘弾性
レオメーターで測定する際によく用いられる積層粘着剤と粘着シートそのものの測定結果の比較
→ 積層した試料の方が弾性率は大きくなるものの損失正接の値に大きな変化なし
真空・洗浄に関わる測定例 -劣化させたニトリルゴム-
ニトリルゴムの摩擦測定 –屋外放置による劣化の判定
硬度65°のニトリルゴムを屋外放置したときの摩擦力の変化を評価
→ 屋外放置により摩擦係数が低下し、また、粘弾性成分が減少
先端材料に関わる測定例 -ナチュラルファイバー-
シルクとカシミアの測定 -速度一定
繊維の種類及びウェール方向とコース方向で検出された力の種類や大きさに差異あり
→カシミアは三角状であるのに対し、シルクのコース方向は矩形状であることから動摩擦が発生
→シルクのウェール方向では、三角状と矩形状が混在する形状であるためせん断力と動摩擦力を同時に検出
※測定中に起こっている現象として、滑りながら変形しているという考察が可能
仕様
| センサ | 荷重印加範囲 | 1～600mN | |
| 抵抗力検出範囲 | 1～600mN | ||
| 加振ステージ | 標準仕様 | 励振幅 | 10～1000µm |
| 周波数レンジ | 正弦波駆動 0.1～30Hz 三角波駆動 0.1～10Hz | ||
| 温度レンジ | ー | ||
| 加熱仕様 | 励振幅 | 10～500µm | |
| 周波数レンジ | 正弦波駆動 0.1～30Hz 三角波駆動 0.1～10Hz | ||
| 温度レンジ | 室温～150℃ | ||
| 薄膜粘弾性測定特化仕様 | 励振幅 | 0.02～20µm | |
| 周波数レンジ | 正弦波駆動 0.1～50Hz ※動的粘弾性解析 0.1～10Hz 三角波駆動 0.1～10Hz | ||
| 温度レンジ | 室温～150℃ | ||
| 摺動圧子 | 材質 | SUS304 | |
| 形状 | 球(3/16 inch ボール) 円柱(φ1~7) 角柱(1×1 , 3×3 , 5×5 , 7×7) | ||
